「ガスタービンエンジン!」

盛り上がりに欠ける昨今のモーターショー。三菱自動車のリリースに、若竹村、大いに興奮です。

Photo/Text Kenichi WAKATAKEMURA

三菱自動車が新しいPHEVシステムを搭載したモデルを今度の東京モーターショーで発表するそうです。エンジンは、なんとガスタービン。ガスタービンエンジンというのは、1960年代にローバーが発表して以来、自動車には「不向きなエンジン」とされてきました。

1956年式 ローバー T3 2軸式ガスタービンを搭載して時速100マイルまでボディを引っ張った。

理由としては騒音の問題もありましたが、一番はドライバビリティ。アクセルのオン・オフにリニアに反応しないのがガスタービンの問題でした。

ん? と思われる向きもありますが、飛行機の離陸を考えてみてください。昔の日産セドリックみたいな加速しかしないですよね、飛行機って。スロットルを全開にしても、ジェットエンジンは構造的に回り出すまでに相当なタイムラグが発生します。

逆にPHEV、というよりレンジエクステンダーとしてのエンジンとして考えてみましょう。エンジンを単純に「発電用」、つまり日産のe-Powerと同じように考えてみると実に理にかなっています

まず、ガスタービンには冷却系が必要ありません。また潤滑系統は、ひょっとすると数百ccのエステル系のものに変わりアワーメーターで管理されるでしょう。排気量という概念も消えて、「推力」表示になるでしょう。

いまの三菱自動車にガスタービンを作る余力はないはずなので、多分IHIなどが作っているものを流用するのかもしれませんが自動車用の発電向けであれば10万回転も回れば十分なはずです。あとは、ガスタービン自体の耐久性とメンテコスト、そして排気ガスの問題です。

33万回転で発電を行うコンパクトなIHIガスタービン発電

各自動車メーカーは内燃機関の開発をやめると報道されていますがこれは大きな間違いで、各社、実は「2ストローク」などの基礎研究をしっかり進めています。2022年ごろになると、PHEVのエンジンは2サイクル化されてくると予想できます。

1961年式 ローバー T4 ローバーは1970年代初頭までガスタービンエンジンを開発。燃費は1ガロン当たり16ー20マイルだった。

新しい時代に、新しい技術。少しは希望が持てる自動車業界の「今日」です。

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